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隼也のハンバーグが出来たタイミングで
私と貴也にハヤシライスが来て
みんな一緒に"いただきます"。
食事中は静かだけど
やっぱり話がつきないこの3人が
私はすごく好きだ。
いつもの席で、いつものご飯を
この二人と食べるこの時間が
とっても好きだ。
「ねぇ、マスター。」
「ん?」
「このお店、名前なんて言うの?」
「あ、俺も知らない。」
反応したのは隼也。
やっぱり貴也は知ってるのかな。
「ポケット。」
「え、ポケット?」
「そう。
ハンカチに、ティッシュに、
財布、鍵、スマホ、たまに飴玉だったり。
ポケットには大切なものをたくさん入れるでしょ。
たまにゴミなんかも入れちゃうけど
そういうものを入れておく店にしたかったから。
寒いときには暖めてくれる
そんな店にね。」
「………なるほど。」
「ポケットがぎゅーぎゅーぱんぱんは
ちょっと似合わないでしょ。
だからこの店はがらがらでいいんだよ。
人気が出てほしいわけじゃない。
好きな人に好きでいてもらえるなら
俺はそれでいい。」
………なんだか、そういうことを
さらっと言えるマスターが
かっこよく見えた。
私はいったい
何に向かって何を目指して
走っているんだろう。


