居場所をください。




「ほらよ、到着。」


「え、ついたの?」


「そ。

ここが明奈んち。

明奈んちの斜め前の

この家が誠んちで、

誠んちの前で明奈んちの隣が

前の俺んち。」


「うわー、すごい。

こんなご近所さんってほんとにあるんだ。」


漫画の世界にしかないと思ってたよ。


「じゃーな。」


「おう。」


「今日私誠んちとまろーっと。」


「はぁ?またかよ。」


「もっと喜べ!」


「まぁいいけど。」


はは、仲良し仲良し。


「美鈴ちゃん、今日はありがと。」


車を降りて、助手席窓のところに

明奈ちゃんが来た。


「どういたしまして。

………誠くんにもちゃんと言いなよ。」


「ま、仕方ないか。」


「はは

仲良くね、誠くんと。」


「美鈴ちゃんもね。

貴也をお願いします。」


「お前は俺の親か。」


明奈ちゃんの声は

貴也にも届いていたようで。


「親か、それもいいね。」


「遠慮しろ。」


二人は気まずくなることもなくて

いつも通り普通に話してて

安心した。