「美鈴ちゃんの幼馴染みは男?女?」
誠くんがそんなことを聞いてくるけど
「どっちもいるよ。」
私の幼馴染みは和也だけじゃない。
美優ちゃんも、栞奈も、
小さい頃から一緒に育ってきた
家族みたいなもんだから。
「じゃあ男の方!
好きになったりしなかったの?」
「ないない、ありえない。」
「どうして?」
「………最低なやつだから。
私はきっとずっと許せないんだろうな。」
私が真剣にそういうと
「思い出さなくていいよ。」
貴也がそういって
私の頭を撫でた。
きっと貴也にはわかったんだろうな。
その相手があいつだって。
「大丈夫。」
許せない、忘れられない。
だけど私にはもう遠い記憶。
今が幸せだから。


