居場所をください。




結局、長曽我部さんが来たから

佐藤さんは来ないってなって

私は長曽我部さんと久しぶりに二人で

ご飯へと出掛けた。


「あ、このお店も久しぶりだ~。」


今日は弘希が前にバイトしていたお店。

たまにはピザとか食べたかったんだよね。


「そういえば弘希、

どこの大学受けるの?」


「なるべく上を目指すけど

まだ決まってはないな。

ただ経済学部ってことは決まってる。」


「へー、そっか。

いいなー、大学か~。」


「美鈴も行きたいなら

今からでも遅くねーんじゃね?」


「いい。私は行かない。

仕事も勉強も両立させる自信

私にはないもん。

今は学問より仕事を頑張りたいから。」


私は咲さんみたいにはなれない。

私はそんなに必死になれないと思う。

その程度だから。


「なにもできない私でも

歌は歌うことができる。

学歴もなくて、親もいなくて

そんな人間でも歌は歌える。

なんていうか、

そういう欠点だらけの人間でいたい。

その方が親しみやすいのかもって。」


「………そうか。」