「アルバムかぁ。」
「来年のツアーのためにもね。
さてと、今日はこれから美容院だって。
今日は俺がつれてくよ。」
「え、そうなの?」
「長曽我部さんは時間がなくてね。」
「ふーん、そっか。
じゃあいこ。」
最近、長曽我部さんと
仕事中に会うことが減ってきたな。
デビューする前から
ずっと一緒に仕事してきたのに。
美容院まで行けなくなったのか。
忙しいのはわかってるんだけどさ。
「今回の色はどうすればいいの?」
「好きにしていいって。」
「え?黒でも?」
「美鈴ちゃんにはもう必要ないから。
そういうトレードマークがなくても
もう"五十嵐美鈴"はちゃんと世の中に
名前を刻んでるよ。」
「………そっか。」


