居場所をください。




それからすぐ本番が始まり

今回は私の台詞が多くて緊張したけど

それでもライブのように間違えたりはず

台詞は言うことはできたけど

細かい動作変更や、指示を受け

カメラ位置を変えたりと

たった数分のシーンに15分ほどかけて

ひとつのシーンを撮り終えた。


「ふー、また私のシーンだよね。」


このセットで、このメンバーで

撮れるところを撮っていくから

ストーリーは繋がっていないけど。


「美鈴は今日一気に撮って

あとは少しだからいいよな。」


「だって役者じゃないもん、私。」


それからもいろんなシーンを撮り、

なかなか貴也とシーンも多くて

あっという間にお昼となった。


「ふー、とりあえず私のシーン終わった。」


「今日の分だけだけどな。」


13時、やっとお昼休憩。

エキストラのみなさんもここで仕事は終わり。

お金が発生するのかしないのかわからないけど

一応仕事?だよね?ボランティア?なわけないか。


「お腹すいた~。」


「お疲れさま。」


いつの間にか咲さんの隣には

佐藤さんが立っていた。


「じゃあご飯に行こうか。」


「え?え、ここでじゃなくて?」


「そ。美鈴ちゃんは俺と二人でご飯。」


「………はい。

着替えてきまーす。」


私だけ別か。

そりゃそうだろうけど。

どうせ仕事の話。