居場所をください。




「遅いぞ~!」


中へ戻ると怒りに満ちた監督が。


「すみませーん」


貴也は笑顔でそういって

みんなとスタンバイに向かった。


「五十嵐も早く行け。」


「……あ、すみません!」


私も慌てて貴也のあとを追った。


「二人ともおっそ!」


加藤くんはすでに席に座っていた。


「はは、ごめんごめん。」


エキストラさんたちも

すっかりスタンバイに入ってて

あとは私たちだけだった。


「お待たせしました~!」


助監督から声がかかり、

動作確認をしてから本番を撮る。


ここでは貴也との演技もあるし

何だかんだ好きかもしれない。


遠くから、咲さんがアイコンタクトを送ってきたり

少しずつ撮影が楽しくなってきた。