そして仲良くスタジオに戻って
私は矢島くんと動作確認をして、
いよいよ撮影に入った。
とりあえず今日は教室のセットから。
放課後の教室でキスだって。
絶対現実世界じゃないでしょ。
それならさっさとかえって部屋ですればいいのに。
なんて、普通のスクールラブをしてこなかった私は
皮肉なことを思いつつ、撮影に挑んだ。
とりあえずここでは
矢島くんの方からしてくれるから
私は待ってるだけで楽、だけど
やっぱりキスシーンは緊張するもので。
「はは、緊張しすぎ。
演技なんだから、リラックスリラックス。」
矢島くんはそういって
私の頬を軽くつねった。
「………やっぱり可愛い顔でも
こういうことするとブスにもなるんだねぇ。」
「え!ひっどい!」
「はは、
ほら、笑えたでしょ。」
………やっぱり矢島くんは優しい。
そして慣れてる。
役者を目指してたんだもんなぁ……
このくらい、平気か。
「よし、じゃあもう意識しないようにする!」
「うんうん、俺を赤ちゃんだと思ってよ。」
「それはさすがに無理だね。」
それでも矢島くんがいっぱい話しかけてくれたから
なんとか、カメラが回るまでは楽しく過ごせた。


