居場所をください。




「………はいはい、じゃあ今夜な。

たぶん20時には行けるし。


……………あぁ、いつものとこで。」


貴也はそういって電話を切った。


「どうした?」


「え?あ、いや……

怒ったのかと思って…」


「別に。

それよりもう時間だから行こう。」


貴也はそういって

私の横を通りすぎた。


「夜、誰かと会うの?」


「あぁ、地元の友達。

だから飯はいらないわ。」


「ふーん、そっか。」


地元の友達か。

誠くん以外にもいたんだ。


「美鈴?行かねーの?」


「あぁ、ごめん。行く。」


私が隣に行くと

貴也はいつも通り手を握ってくれたから

ちょっと安心した。


「怒ってない?」


「追いかけてきたから。」


「やっぱ怒ってたんだ。」


「普通はいい気分しねーだろ?」


「そうだね。

ごめんね?」


「いいよ。」