居場所をください。




「……ごめん、ちょっと私も」


貴也の背中を見送ったけど

やっぱり気になって私も貴也を追いかけた。


とはいえ、

スタジオのドアを開けるともう貴也の姿はなく

3方向に分かれてるこの廊下の

いったいどこへいったのか。


「あれ、美鈴ちゃんどうしたの?」


「あ、咲さん!

貴也見ませんでした?」


「あ、うん。

控え室の方へ行ったよ?」


「ありがとうございます!」


「え、もう撮影始まるよ?」


「大丈夫、すぐ戻ります!」


とりあえず時間がないから

私は急いで控え室へ向かった。



コンコン……


とりあえずノックをしてからドアを開けた。

どうせいなかったら鍵かかってて開かないし

構わずドアノブをひねったら

すんなりドアは開いた。


中には貴也がいて、

貴也は本当に電話をしてて

そのまま私に視線を向けて

ちょっと待っててとアイコンタクトを送ってきた。