「貴也は?モテてきた?」
「モテモテ。」
「あ、そうだよね。うん。
知ってたっけ。」
なにを聞いたんだ、私は。
「でも、俺をちゃんと見て
好きになってくれたのは美鈴が初めて。」
「好きになる予定なかったからね。」
「腹立つやつ。」
「貴也こそ、よく私に目をつけたよね。
芸能界にいると、私なんか特別可愛いわけでもないし
契約当時なんて、この世界じゃスタイルだって
特別いいわけでもなかったわけじゃん?
本当、ただの一般人だったじゃん。」
「それが良かったんじゃん。
別に来たくて来たわけでもない
って顔してたしな。
いかにも興味ないって顔してて
芸能事務所なんてまず入れねーのに
冷めた顔してて。
美鈴みたいなやつ、まずいねーしな。」
と、貴也は笑いながら言った。
「………そんな面白い顔してましたか」
「してたな。」
「うるさいよ。」
「たぶん隼也も同じような理由だったと思うし。」
隼也ねぇ……


