居場所をください。




「もうもどんの?」


「え?なんで?」


「やっと二人じゃん。」


「………虎太朗とツナいるよ。

二人じゃないじゃん。」


私がそういうと

貴也は虎太朗も抱き、

玄関の中に入れて、戻ってきた。


「これでいいだろ。」


「ふふ、まぁいいけどさ。

散歩する?敷地内だけど。」


「そうだな。」


私たちは手を繋いで

無駄に広い庭を歩くことにした。


まぁ風神雷神はちょこちょこ会うけど。


「池まであんじゃん。」


「金魚がいるよ。」


「………は?鯉じゃなくて?」


「うん、金魚。

しかも花火大会で私が救ってきたやつ。

金魚が住めるように整備もしたの。」


「甘やかしすぎだろ。」


「金魚を?」


「美鈴を。

社長、美鈴に甘すぎ。」


「はは、そうだね。

長曽我部さんが厳しい分

社長は甘いかも。」


「俺には厳しいくせに。」