「社長、あっち行きたい。」
「あぁ、行こう行こう」
美鈴は虎太朗を抱き、
俺らはまた外へと出た。
「こっちが母屋な。」
そこは3階建ての、おしゃれな外観。
一人なのに、こんなにスペースが
必要なのか?
離れよりも大きな玄関を開けると
そこには猫が4匹。
「ただいま!」
………社長の溺愛ぶりが伝わってきて
気持ち悪い。
社長が玄関を上がると
3匹は向こうにいってしまったのに対し、
1匹だけ、社長の足元にまとわりついた。
「これが小梅だよ。」
社長は抱き上げながらそう言った。
「………猫かよ。」
彼女っていうのは。
「猫はね、気分屋だから
その日によって彼女が変わるんだって。
今日は小梅。
もう一匹、小雪もベタベタする方で
小春はわりとさっぱりしてるけど
ご飯のときとかはすごく甘えてくるんだよ。
もう一匹は小蜜って言ってね
私はぜんっぜん好かれてないの。
冷めてる。」
………小梅に、小雪に、小春に、小蜜……?
覚えにく!
広い玄関を入ってすぐの階段を上がると
凄まじく広いリビング。


