「あ、来た来た。」
最初は意味不明だった俺らだったけど
向こうから走ってきたやつらを見て
すぐに理解した。
「よしよし、今日も元気だね。
ちょっとお邪魔します。」
美鈴はしゃがみ、そいつらに
預かってた鍵を見せ、頭を撫でた。
「………ドーベルマン?」
「そ。こっちが風神で、こっちが雷神
っていう名前なの。
ドーベルマンは飼い主に忠実だから
知らない人が入ってくるとすぐに襲いかかるよ。
私もやっと覚えてもらえたところ。
足も速いし番犬にはぴったり。」
「………風神雷神って。
社長はどんな名前つけてんだよ。」
「あ、そういうこと言うと噛まれるよ。」
なんて、美鈴は笑いながら
冗談なのか本気なのか
よくわからない脅しをしてくる。
「パパはどこ?」
美鈴がドーベルマン2匹にそう聞くと
ドーベルマン2匹はすぐに歩き出した。
「………パパ?」
「あぁ、社長のこと。
社長、自分のことパパっていうから。
あの2匹にはね。」
………っていうかどんだけ賢いんだよ。


