「ねぇ、矢島くん。」
「ん?」
「どうして貴也は名字で呼ぶの?
隼也も加藤くんも名前で呼ぶのに。」
「だって松野くんは芸歴も長いし
直接先輩後輩関係がある訳じゃないけど
でもやっぱ尊敬してるところもあるしね。」
「え、貴也に尊敬?」
「なんで美鈴はそこで驚いてんだよ。」
「はは、ごめんごめん。」
謝る気あんのかよ。
「俺さ、松野くんに憧れて
役者目指したんだよね。」
将太はいつもと変わらない笑顔で
そう答えた。
「小学生の頃さ、
俺より年下なのにすごいなーって
ずっと思ってて、それで。
まぁ事務所は違ったけど。」
「へぇ……貴也の影響力はすごいね。」
俺を見て、ねぇ…。
ほんとにそんなやついるんだな。


