「俺はさ、ガキの頃からこの世界にいるから
芸能界なんて特別でもなんでもなかったんだよ。
でも小学校上がったくらいからかな
俺って周りの人と違うんだなって自覚し始めて
まずは学校の保護者たち。
参観日になれば俺の写真を撮ったりするだろ。
自分の子供には俺と友達になるように言ったり。
ガキはガキなりに大変でさ、
だんだん嫌になってきたんだよ。
そんなときに俺のマネージャーも
マネージャーじゃなくなって
それからはマネージャーも安定しなくて
俺はどんどん仕事が嫌になってって
それがピークになったときに父さんが死んで
中2夏から中3終わりまでは本当に荒れてたな。
自分でもわかるくらい。」
「貴也がやっと真面目に仕事し始めた頃
美鈴ちゃんが来てくれて、
貴也も頑張るようになったんだよ。
その頃までほんっとにどうしようもなくて
俺とまともに会話もしようとしなくて
貴也と話せんのは隼也くらいだし
ほんと俺ももう貴也から外れたくて。」
なんて佐藤さんは笑いながら言ったけど
きっと佐藤さんが諦めなかったから
今の貴也がいるんだよね。


