居場所をください。



「そういえば春に公開される貴也の映画の主題歌、私が歌うよ。」


「え、そうなの?」


「しかもちょっとだけ出るの。五十嵐美鈴として。」


「へー、じゃあ絶対見に行く。」


「貴也喜ぶよ。」


いや、美鈴に喜んでほしいとこなんだけど。


「最近貴也に会った?」


「会ってない。打ち合わせのときくらいかな。

しかも私今貴也とは会うなって言われてるし。」


「なんで?」


「噂になると困るからだって。」


「へー。」


じゃあ俺すげーチャンスじゃね?


「なんでそんな嬉しそうなの?」


「や、そんなことないって。」


「隼也、顔にやけてるけど。」


うわ、まじかよ。


「……………よし。」


「なにが?」


「気合い入った。」


「意味わかんないけど。」


そういって笑う美鈴はやっぱり可愛い。