「でも、俺も前会ったよ。」
そうやって言ったのは矢島くん。
「俺は男で、相手が女の子だったから
五十嵐さんとは立場が違うけど
ちょっと気持ち悪いよね。」
「なんかね、私はあんまり気持ち悪くないの。
なんでだかわからないんだけど
見られてるってわかってても
それが気持ち悪いとは思わない。
なんでなのかはわからないんだけど。」
「危機感足りねーんじゃね?」
「そんなことないよ!」
「俺も長曽我部さんも佐藤さんも
美鈴の友達の高橋ってやつも気づいてんのに
誰もそいつの姿を見れてねーのも不気味。
いるのはわかんのに。」
「幽霊なんじゃね?」
「怖いこと言わないでよ。」
「ま、美鈴ちゃんは可愛いし
ストーキングされるのもわかるけどね。」
「はは、ありがと。
嬉しくないけど。」


