「じゃあ本題行きますね~」
「え、今のが本題でしょ?」
貴也は冗談混じりで
そんなことを言う。
ちゃんと空気を柔らかくする。
編集部の人がまた聞きやすいように。
きっとこういう積み重ねで
信用と好感度を保ってきたんだろうな。
私はそれを崩さないように気を付けないとね。
「この部屋のインテリアは
二人で決めたんですか?」
「そうです。」
「こだわりとかってありますか?」
「引っ越す前に、美鈴に
どんな部屋がいいか聞いたところ
余計なものを置かずに掃除しやすい部屋
って答えたんです。」
「ちょっと。
そんなこと言った~?」
「はは、言ったよ。」
「もうちょっと可愛く言ってよね。」
「ごめんごめん。
でも俺もそういう方がよかったので
いろいろ飾りたい方じゃなくてよかったですよ。」
………うまいなぁ。


