居場所をください。




「脇役のくせにって

あんたは実力じゃなくて

見た目だけで選ばれたくせに

よく言えるよね、そういうこと。

演技下手くそすぎて指導の山本さんも

頭抱えてたじゃん。」


咲さんは夏音に向かって

小バカにしたように笑いながら言った。


「実力じゃなくて、社長脅してデビューして

実力じゃなくて、見た目だけで映画主演勤めて

あんたはそれで嬉しいの?そんなんで。

実力が認められてデビューした美鈴ちゃんが

羨ましくて仕方ないんでしょ?

長曽我部さんに可愛がられて

先輩に可愛がられて

あんなかっこいい彼氏がいて

売れて、人気もあって、仕事もあって

そんな美鈴ちゃんを妬んで恨んで

あんたはそれで幸せになれんの?

それでこの世界、生きていけるとでも思ってんの?」


咲さんは私と夏音の間に立ち、

すごい勢いで夏音に言った。


「ないものねだりをすんのもいい加減にしな。

そんなこと言ってる暇あんなら努力しな。

甘ったれんなよ。」


その勢いは少し怖いくらいで………

夏音はすぐにスタジオへと戻った。