居場所をください。




それから15分ほど

解決なんてできないけど

藍子の愚痴を聞いて電話を終えた。


「誰?」


「施設の子。藍子。岳人の彼女の。

施設は高校卒業したら出なきゃだから

少し焦ってるみたい。

私はもう出たから今年は今の子と

………あの、男だけ。和也だけ。

和也はもう就職も住むところも決まったから

焦ってて、愚痴。

そういうのってさ、施設にいる子には

話せないっていうか不安にさせるだけだから。

きっと私にしか話せる人がいなかったんだと思う。」


藍子も今は一人で頑張ってるんだ。

この先、近い未来に不安を抱えて。


「…大変だな。」


「本当はね、岳人に相談したみたいだけど

頑張れ、としか言われなかったみたいで

それに少し追い込まれてるみたい。

頑張れとか大丈夫とか

簡単な言葉だけど言われた側には重みがあって

それに耐えられなくなるときがあるんだよね。」


だって、私たちはずっと

頑張ってきたんだよ。

なにがって聞かれると答えられないけど

いろんなことにいっぱい頑張ってきた。

安易に大丈夫と言われることを嫌ってきた。


だから、余計に………