居場所をください。




「じゃ、俺は弘希を送ってくから。」


「え、ご飯食べていかないの?」


「食材なんにもないだろ。

腹減りすぎて待てねーよ。」


「じゃあ俺は隼也を送ってくね。」


「俺はたっつんの車で来たから~!」


「え、え?

みんな、もう帰っちゃうの?」


「おう、みんなありがとな。」


「え、ほんとに帰っちゃうの!?」


「あ、長曽我部さん。」


なぜかみんな私を無視。

どんどん帰ろうとしていく。


「ん?なんだ?」


貴也に引き留められ、

長曽我部さんだけがリビングに残る。


「合鍵です。」


「へー、俺にもくれるんだな。」


「それが条件でしたからね、

美鈴と一緒に住むの。」


「へー、ちゃんと覚えてたんだな。」


「条件?」


なんだそれ。


「5月頃だったかな。

俺が実家を出るって決めた時、

長曽我部さんちに居候させてくれ

とも頼んだんだけど

俺は芸能界復帰するから

その代わりに美鈴と一緒に住まわせてほしい

って頼んだんだよ。

そしたら俺が合鍵が持ってることが条件だって

長い長い説得の末、長曽我部さんも

それで納得したわけ。」


「へぇ、そんなことあったんだ。」


「俺は美鈴の保護者だからな。

最低でも美鈴のことは俺が責任を持つから。」