居場所をください。



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「俺ここで場所とっとくし

二人でなんか買ってこいよ。」


「え?いいの?」


「いいよ。

はい、おこづかい。」


「わーい。

じゃあ弘希いこ!」


あとは長曽我部さんに任せて

私と弘希は出店へと向かった。


この二人、目すら合わせない。

いつもはあんなに仲いいのに。


「まだ仲直りしてないの?」


「……別に。」


「難しいよね。

お互いがお互いのことを想っての喧嘩だもん。

私と長曽我部さんみたいに

私が一方的にわがまま言ってるのとは

わけが違うもんね。謝るのも違うか。」


「逆に、なんであんな大学にこだわるのかわかんねー。

高卒で働くのがそんな悪いのか。」


「長曽我部さんさ、

弘希と一緒に働きたいんじゃないの?」


「……は?」


「うちの事務所、大卒じゃないと入れないの。

私とか貴也とかみんな思ってるけどさ

長曽我部さん子供が弘希しかいないから

跡取りいなくて困るんだよね。

長曽我部さんの代で潰すか、

どこかに拾われるか、全く別の人がなるか。


そしたら、あの事務所の質が変わるかもしれない。

それが嫌なの。」


「……俺、血繋がってねーけど。」


「そんなの関係ないよ。

弘希は長曽我部さんに育てられたんだもん。

似てるよ。そっくり。

それを弘希に言わないってことは

まだ選択肢の1つとして、って感じなんだよ。

弘希の将来は弘希に決めさせたい。

だけど、今決めるのはまだ早い。

大学にいって、もしこの世界に興味をもってくれたら

そう考えてるんじゃないかな。」