居場所をください。




15分後ー


「………読み終えた、けど…」


これから歌詞を出すのも大変だね。

読者として思うことはあったとしても

それがこの映画の主題歌として使えるのか……


「別に物語に忠実に書けとは言わない。

美鈴は美鈴の言葉で書けばいい。

美鈴らしく、な。

それが美鈴の良さは自分の経験から

自分の感情で歌詞を書くところだろ。

だから映画はそこまで気にしなくていい。」


……じゃあなぜ私は今ここにいるんだ?


「ちょい寝るからあとで起こして。」


隣では貴也が昼寝を始める始末。


「貴也も、けっこう考え込んでるみたいだし。」


「え?」


私の耳元で長曽我部さんが囁く。


「美鈴に見捨てられないように

貴也も必死なんだよ。

今の自分が情けないって悩んでる。

前ほどの演技力が戻らなくて

セリフは覚えられるんだけど

自分の演技に自分が満足してねーんだよ。」


「え、そうなの?

でも稽古だってなにも言われないじゃん。

普通に上手だよ。」


「たぶん、相当しんどいんだろうな。

母親がいなくなったことが。

貴也の演じる役、母親からの愛情不足で

人間不信になってる役だし

それが少し自分の経験と重なってるんじゃね?

貴也も一時期、勝手に芸能界に入れてんなよ

って母親に反抗してた時期もあったから。

今じゃその母親もいなくなったわけだし。

拠り所が美鈴しかいなくて

そんな美鈴に幻滅されたくなくて

仕事頑張ってるけどうまくいかない

って感じじゃね?」


「あんな自信満々なのに?」


「そうやって自分を誤魔化してるんだよ。」


……そっか。


「貴也も寂しいんだね。」