居場所をください。




それからは会話もなく

貴也との待ち合わせ場所へとつき、

貴也が来るのを待っていた。


「あ、来たんじゃね?」


そう言われて向こうを見れば

白の車がこちらに向かってきた。


「わり、遅れた。」


助手席の窓を開けて

私たちにそういう貴也。


「ううん、大丈夫。

高橋送ってくれてありがと。

彼女さんによろしくー。」


「おう。

次は焼き肉な。」


「はいはい。

じゃーね。」


「おう。」


私は助手席に座って高橋に手を振り、

車は発進した。


「どうだった?」


「楽しかったよ。

高橋、彼女できたんだってー。」


「へー、そうなんだ。

吉田夏音は未練ありそうだったけどな。」


「夏音と話したの?」


「前。

飯行ったって言ったろ。

あれからは特別な会話はない。

誘われたけど、きっぱり断ったし。」


「…ふーん、そっか。」