居場所をください。




「さっきの、いろいろあったっていうのは?」


「帰ってから言うって。」


「美鈴の新曲発売日と

あいつが所属するアイドルグループの

デビュー曲の発売日が一緒の日だったんだ。

だから、オリコンの順位で二人は争ってたんだよ。

なのに美鈴、Secretを400枚しか作らなくて

………いや、あえて400枚だけを発売して

敗けを選んだんだよ。

戦う意味すらないそんな争いを放棄してた。」


「え、あの子アイドルなんですか?」


「そ。知らねーだろ?

美鈴は負けたけど、その後Secretが

すげー売れたのもあったし

あいつらが全然売れなかったのもあって

知名度はめちゃくちゃ低いんだよ。」


「…でもなんでそんな争い事を?」


「あいつは俺の事が嫌いなんだよ。

ちなみにあいつのマネージャーは永田で

永田も俺のこと嫌ってたからな。」


「永田って美鈴の元マネージャーの?」


「そ。

美鈴のプロデューサーは俺。

チーフマネも俺。

だから美鈴を使ったんだよ。」


「あー、そういうことだったんですね。」


長曽我部さんは私と夏音のことについては一切触れず

貴也が満足するような回答をした。