友達を想う曲、か。
私友達少ないから難しいなー。
そんなことを考えながら廊下に出ると
そこでは貴也と夏音が楽しそうに話していた。
「あ、お疲れ。」
「うん。」
すぐに声をかけてくれた貴也に
私は笑顔を張り付けて返した。
すると私と貴也の間に
夏音が入ってきて
「美鈴、久しぶりだね!
仕事が一緒にできるなんて嬉しい!
よろしくね!」
と、いつもとは違った雰囲気で私に言った。
夏音から大嫌いと言われてからずっと
夏音に笑顔を向けられてこなかったことと
この作り物の笑顔が気持ち悪くて
私はなにも言えなかった。
「……………貴也くんに私の悪口言ったら
こっちも美鈴の悪口、言いふらすからね。」
貴也に見えないように見せた真顔と
貴也に聞こえないように発した言葉は
やはり夏音の本心だったみたいで
私は目をそらすことしかできなかった。
私が夏音の悪口何て言うわけないのにね。


