「ごめんね、呼び止めちゃって。」
「いえ、大丈夫です。
主題歌の件でしょうか?」
「あ、ううん。
原作読んでくれたみたいだから
知ってると思うんだけどさ、
五十嵐さんが演じる美波が
病室でいつも日本の曲を聴いてるんだけど
その曲も五十嵐さんにお願いしたいんだ。
歌詞と唄を。」
「え、私がですか?
CDのカップリングということでしょうか。」
「うん。
一応マネージャーさんを通して
レコード会社さんからもOKもらってるし
考えてもらえるかな?」
「で、でもそれじゃ
私の歌を私が病室で聴いてるってことになって
ちょっとおかしくないですか?」
「病室で使うのは違う人に歌ってもらうよ。
ただ、美波が由茉にその曲の入ったMDを贈る。
そのMDは五十嵐さんの……つまり
美波の声で入れようと思ってるんだ。」
「……そうなんですね。」
「お願いできるかな?」
「友達を想う曲を、ってことですよね。」
「そう。
それを聴いて由茉が元気になれるような
美波を思い出して元気になれるような
そんな歌詞を考えてほしい。」
「わかりました。」
「よかった。
じゃあお願いします。」
「はい。
失礼します。」


