居場所をください。




「あ、ヒロインあの子?

初めて見る子だけどめっちゃかわいー!」


……加藤さんはきっと

女の子が大好きなんだね…。



加藤さんがずっと見てるから

私もヒロインの子に目を向けた。


「………夏音…!」


正面席、監督席横にある主役の席には

いつの間にか来ていた矢島くんと

久しぶりに見た夏音がいた。


「美鈴ちゃん知り合い?」


「え、あぁ…同じ事務所で…」


夏音?夏音が主演なの?


「あれ、あの子ってうちの事務所だっけ。

っていうか芸能界入ったわけ?」


「あー、うん…」


「……………なんでそんな気まずそうなんだよ。

美鈴友達じゃなかったわけ?」


「……いろいろあって…。」


「……………そ、じゃあそれも

帰ってから聞くわ。」


「うん。」


まさかこんなところで

仕事を共にするなんてね……