居場所をください。




それからも俺らは引っ越しの話、

仕事の話とかをしていた。


1年以上離れていたなんて思えないほど

本当に俺らはいつも通り。


「あ、ねぇ!

私に渡すものあったんじゃないの?」


「あぁ、そうだった。忘れてた。

ちょい待ってて。」


「うん、早く早く!」


はいはい。

えーと、確かこの中に………あったあった。



「これ。」


「………あ、これ…。」


「母さんが、

美鈴に捨てられなかったら

美鈴にあがてくれってさ。

母さんの指輪。」


母さんと美鈴が会ったときに

母さんが美鈴にあげようとした指輪。

遺品整理してたら手紙と一緒に出てきたやつ。


これは捨てずにちゃんと持ってきたんだ。


「………ありがと。」


美鈴は指輪を見ながら優しく言った。