「あ、引っ越したらさ
パソコン買う?」
「俺の?」
「うん。
貴也いらない?」
「いや、前からほしいと思ってた。
だけどネット環境整えんのめんどくさくて。」
「長曽我部さんやってくれるから大丈夫だよ。」
………なんか美鈴といれば
なにもかも長曽我部さんがやってくれる気がする。
長曽我部さんが俺を見捨てなかったのも
美鈴が俺の彼女だからって感じだったしな。
「なんか、私お金あんまり使わないからさ
こういうときに貯めててよかったって思うよ。」
「っていうか貯めすぎなんじゃね?」
「貴也だってそうでしょ。」
「俺は前から家賃も光熱費も払ってたし。
家に仕送りだってしてたから。」
「私だって寄付金贈ってるもん。
結構お金使ってます。」
………って、これなんの言い争いだよ。
くだらね。
結局俺らは二人してあんまり金を使わないんだろうな。
「ソファも新しくしていい?」
「広いリビングだもんな。」


