居場所をください。




「大変失礼なのですが、

お部屋をお探しなのはどなたでしょう?」


「この若い二人です。」


「そうですか、お二人で住むには

十分な広さだと思いますし、

お二人は料理がお好きだと存じ上げております。

そんなお二人にこちらのキッチンは

とてもおすすめいたします。

またご事情により、契約者様と

表札、郵便受けの名前を変えることも出来ますので

そのようなご相談もいつでも承ります。」


「だって。」


だってって。


「貴也はどうなの?」


「すげー俺好み。」


「そんな気した。

どうする?決めちゃう?」


「俺は全然いいよ。

でも保証人どうする?」


「俺でも社長でも。

社長もいいって言ってたしな。」


「だって。

いいじゃん、決めちゃおうよ。

埋まる前に。」


「そうだな。

すみません、契約お願いします。」


「ありがとうございます。

階数はどういたしますか?」


「19階で。」


またしても即決。

私に相談とか一切ない。

ま、私はどこでもいいから

別によかったんだけど。