結局、隼也の案は貴也にばっさり切られ、
23時頃、時間も時間ということでお開きになった。
「もし引っ越すようならちゃんと俺に言えよ?
まぁ俺が契約してる部屋だから
俺に言ってもらわないと契約切れないんだけど。」
「まぁ引っ越すようならね。
じゃあおやすみ~。」
長曽我部さんは佐藤さんに、
私と隼也は貴也の車に、
ダンサーたちやスタッフさんたちは
タクシーや代行で帰っていった。
「この3人揃うのってかなり久しぶりじゃない?」
「それもそうだな。
俺も1年いなかったし、
その前も仕事であんま会わなかったもんな。」
「まぁ明日はあれだけど
また3人でごはん行こうね。」
「時間が合えばな。」
「貴也冷めてるね。」
「貴也は俺に冷たいからな。」
「はは、仲がよろしくていいですね。」
「どこが!」
飼い猫に振られてる飼い主みたいだね、隼也は。
私より貴也のが好きでしょ、絶対。
「で、二人は引っ越すの?」
「引っ越す必要性を感じない。」
「俺は引っ越してもいいけど。」
「え?そうなの?」
「なんか新鮮じゃん。
俺あのマンション意外住んだことないし
新しいところってなんか楽しくね?」
「………へぇ、貴也もそういうこと言うんだね。
ちょっと意外。」
「しかも今だと
俺が美鈴のところに転がり込んでて
なんかあんまいい感じしないっつーか。
それに俺のスペース的なとこないじゃん?
美鈴のところに転がり込んでるから
全部が美鈴のエリアな気がして。
冷蔵庫勝手に開けちゃダメな感じ。」
「まぁ二人の家って感じはしないかもね?」
「だから心機一転、引っ越しもいいなー
とは思ってる。」
「じゃあ内見いきゃいいじゃん。
内見今日かららしいし?」
「まぁあとは美鈴次第だけどな。
隼也んちついた。」
「………俺も引っ越そうかな。」
「そうした方がいいと思う。
これじゃ学生のアパートとかわんねーじゃん。」
「これはこれでいいんだよ。
じゃーな。」


