居場所をください。




車の中の気まずい雰囲気に耐えられなくて

車を降りることにした。


「………今日はもう帰りなよ。

じゃね。」


それだけいって車を降りたけど

貴也は追ってくることもなく

ただただ虚しく大通りでタクシーを拾った。


そして約束より15分遅れで

瞬の家についた。


思ったより全然大きくて………

やっぱり金持ちなんだなぁと。

社長さんだもんなぁ。

稼ぎあるな~。


ピンポーン……


『はい』


うわー、こういうインターホンから話しかけられるの

はじめてだよー。


「あ、あの…五十嵐美鈴と申します。」


『あー!すぐ開けます~!』


わ、突然元気になったよ。

かと思ったら向こうにある玄関が開いた。


「あれ、一人?」


「え、あー…

まぁね。」


出てきたのはもちろん瞬。


「ふーん、まぁあがれば?」


「お邪魔しまーす。」