「………家に帰って
真っ暗の部屋に電気をつける瞬間がすごく嫌い。
私は一人でいたことがずっとなかったから。
だから一緒に家に来てくれる亜樹に甘えた。
ごめんね。
亜樹はいとこだしそんなんじゃないけど
貴也がいない間に部屋にあげたから
それについては謝る。」
「………なら長曽我部さんちに
ずっといりゃよかったんじゃねーの。」
「そんなこと無理に決まってるじゃん。
……………まぁ私が悪いし貴也が怒って仕方ないけど」
あーあ、さっきまで楽しかったのに。
……これじゃ今日は来てくれないか。
「今日はもう「美鈴ってさ、
何で俺を責めねーの?」
「え?」
「結局俺がいなくなったからって言いたいんだろ?
なんでそう言わねーの?
勝手にいなくなって、大橋とキスまでして
なんで俺の事責めねーの?
俺の事なんかどうでもいいわけ?」
「じゃあ再会してすぐ責めればよかったの?
責めればそれで満足だったの?」
「普通気にしてたら聞くんじゃねーの?」
「私はちゃんとわかってるって思ってたんじゃないの?
そう言ってたじゃん。」
「本気でわかってたわけ?
俺の事。」
「わかんないよ。
ちゃんと話さなきゃわかんないこともあるって思った。
だけど話聞いたからって、
そうですか、わかりました、なんて
満足できるわけでもないでしょ?
話聞いたらキスしたことが消えたりするの?
しないでしょ?
結果は変わらないじゃん。
なのに責めて意味があるの?
……………最初は責めてやろうとか
殴ってやろうとか考えてた。
だけど実際会ったらそんなのどうでもよくなった。
今私を想ってそこにいてくれたなら
それでよかった。
社長の時だってそうだった。
理由とかじゃなくて
今そばにいてくれるならそれでいい。
それだけじゃだめなの?」
そう言っても貴也は表情ひとつ変えなかった。


