居場所をください。




長曽我部さんが好きなブランドに到着し、

私たちは躊躇することなく入ったけど

周りの騒がしさとは一変、

静かで上品な空気が漂っていて

なんとも私たちは似合わない。


「いらっしゃいませ。」


そんな私たちにも笑顔で出迎えてくれる店員さん。

なんとも居心地がいい。


「何をお求めでしょう?」


「男性物の衣類はどちらにありますか?」


「こちらです、ご案内いたします。」


ここなら隠し撮りをされることもなく

他に若いお客さんもいなくて本当に楽だ。


マダムみたいな人はいるけど。


ただ……ここで下着と靴下だけを買うのは

やはり少し躊躇してしまう。


「大人の男性に下着と靴下をプレゼントしたいんですが

おすすめはありますか?」


私が躊躇していると

貴也がすぐに店員さんに聞いた。


「どのような方でしょう?」


「30代ですが気持ちも見た目も若く

すべてがスマートな人です。」


「ではいくつかご用意いたします。」


私はただ黙ってそこにいるだけ。

完全に貴也と店員さんにお任せ。

なんせ慣れない。


女子高生が来るところじゃない、完全に。