居場所をください。




そして一時間半ほどかけて

ショッピングモールへとついた。


「貴也って運転好きなの?」


「まぁ好きってほどでもないけど

嫌いなわけじゃないな。

長曽我部さんみたいに目的もなく

ぶらぶらできるほど好きでもないし

出掛けるのに運転したくないってほど

嫌いでもない。」


「へー、なるほど。」


そんな話をしながらスムーズに駐車する貴也。

知り合った頃はお互い子供だったのに

もう車を運転するほどになったんだなぁ。

なんかあっという間。


「行くぞ?」


「………あのさ、私たち

普通にこのまま行くの?」


「俺はそうだけど。

っていうか1年間ずっと変装なしだったし

俺的にはこっちのが楽なんだけど。」


「すっかり一般人に馴染んだんだね……」


「まぁ美鈴はなんかしてもいいけど。」


「貴也がそのままなら

私だけしても意味ないでしょ。

行こ!」


「潔くていいんじゃね?」


「いちいちめんどくさいもんね。」


私たちはめがねをかけるとか

帽子をかぶるとかすることもなく

このまま車を降りて、手を繋いだ。