「はは、これけっこうかわいー!
すっごいガラス。すっごい透き通ってる。
ネイル変えたばっかでよかった~。
純粋に、これ可愛すぎる。」
ただガラスの靴を履いただけなのに
私の脚はきれいに見える。
「それに普通に歩いても大丈夫だね。
割れにくいの?」
「かなり分厚いしな。
ただ傷はつくから気を付けろよ。」
「うん!
ね、写メとって!」
「相変わらずだな、そういうとこ。」
私は貴也に全身撮ってもらって
今度は座って自分で脚だけを撮る。
こうしていると
今日、久しぶりに会ったとは思えない。
いつも通り過ぎる私たちがなんだかおかしくて
思わず笑ってしまった。
「………元気だったか?」
「え?
うん、もちろん。」
「でも不眠症になったろ。」
「え、誰から…」
「佐藤さんが長曽我部さんと電話してるのを聞いた。
寝て、全然起きない美鈴を抱えて
長曽我部さんが帰ってきたときもあるしな。」
………あ、そういえば……
「長曽我部さんちで寝てるとき
誰かはわからないけど私の頭を撫でたの。
夢だったかもしれないけど………
あれって…」
「あぁ、俺。
そのあとすぐ美鈴が起きたから焦ったけど
すぐシャワー行ってくれて助かったわ。
その間に抜け出して美鈴が帰るのを
外で待ってたから。」
「そうだったんだ。
なんかごめんね。」
「別に美鈴はなんにも悪くねーし。
ってか長曽我部さんから電話くんの?」
「うん、なにか大事な用があって
それを電話するって。」
ほんとに電話くんのかな。


