「それとさぁ、なんか忘れてねー?」
「え?なに?」
「なにかあるだろ、忘れてるもの。」
………………んー…?
「あ、長曽我部さんから電話が来ない。」
「……………なんでそれを俺が言うんだよ…。」
だよね。
なんだろ……なんか忘れてたっけ……?
「少し部屋、見渡してみろよ。」
「部屋ー?」
なんだ…?
うー……ん。
……………ん!?
「あれ!?増えてる!揃ってる!」
「やっと気づいたか。」
「うわー、すごい!!」
シンデレラ気分だよ!!
「ピッタリだったろ。」
「うん!
長曽我部さんから聞いたの?」
「他にいないからな、美鈴サイズを
細かく知ってる人。
50キロまでなら歩いても大丈夫らしいぞ。」
「え、ほんと?
なら私も大丈夫?」
「そんなガリガリなら大丈夫だろ。」
「じゃあ履く!歩く!
写メとらないと!」
私は久しぶりに、
それはそれは久しぶりに
ガラスの靴に足をいれた。
今度は両足揃って。


