居場所をください。




「じゃあ次いくね。

歌手にやってよかったことは?」


「んーやっぱ

自分の言いたいこと言えることかなー。

それに今この時間もすごい楽しいしね?

あと友達も増えたしね。

隼也もそうだけどハルとユリ姉もそうだし、

本当に友達は増えたなー。

毎日本当に楽しくて楽しくて。」


「逆にさ、歌手にならなかったら

美鈴ちゃんって何してたと思う?」


「何してたかな~。

想像もできないかも。

私ほんとになんにもできなくて

ほんと長曽我部さんと知り合ったばかりの頃とか

お前なんにもできないのかよって呆れられるくらい

なんにもできなかったのね。

勉強しかしてこなかったから。

長曽我部さんと出会って、

あ、私長曽我部さんに拾われたのね。

さっきから長曽我部さん長曽我部さんばっかだけど、

長曽我部さんに拾われてデビューしたんだけど

長曽我部さんと出会って、

今までなにかを誉められるって経験がなくて

だから長曽我部さんに私の歌を誉められたときは

素直に嬉しかったし、逆に

私にできることって歌しかないのかも

って思うようにもなったのね。

それまでカラオケでバイトしてて、

お客さんに歌ってよ!とか言われることもあって

私が歌うだけで喜んでくれたりしてさ。

だから私は歌うことしかできないし、

歌手にならなかったらたぶん

ろくな人間にならなかったと思う。

いつまでも親恨んで世の中恨んで

本当に嫌な人間になってたと思う。」