居場所をください。




「美鈴ちゃんはまだ緊張すんの?」


「うん。

瞬は緊張しないの?」


「俺はステージ慣れしてるし

それに俺は主役じゃないし。

あくまで美鈴ちゃんを引き立てて

その場を盛り上げるためだけにいる。

緊張しなくはないけど、そこまでじゃないかな。」


「……貴也がね、前いってたの。

舞台は何回やっても緊張するって。

その気持ち、今ならわかるなー。

あれまだ私がデビューする前だったから

そんな気持ちあの頃はわからなかったけど。」


「あんな小さい頃から役者やってんのに?」


「うん。

でもそれがいい緊張感だから

最後まで気を緩めなくていいんだってさ。」


「なんか美鈴ちゃんの彼氏、

俺が中学生の頃子役で見つけたから

なんか、もうあんな大きくなったんだな~って

なんか変な感じ。」


「はは、それはわかる。

私も同い年だけど大きくなったな~って思っちゃう。」


「へー、美鈴ちゃんでもか。」


「松野貴也って、ずっと子供のイメージ。

でもほんとは誰よりも早く大人になって

この世界で生きてきたんだよね。」


一度捨ててしまった無邪気な翼は

もう取り戻すことはできないのかな。