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「よーし、そろそろバイトスタッフ入るから
終わるぞー。」
拡声器でそういう長曽我部さんの言葉に
私たちは動きを止める。
開演まであと2時間、
とりあえずシャワーを浴びて準備だね。
「うはー、今日も緊張してきた。」
「早くね?」
「はは、今日は一段と早いよね。」
いつもはこのクソ熱い中
ジャケットを着てる長曽我部さんも
ライブの日はスタッフ用ツアTだから
露出されたその腕に抱きつく…いや、
もたれ掛かるように歩く。
もう緊張しすぎて…一人で歩けない。
お腹いたい。
「そういや隼也来るって。」
「え?どこの席?」
「いや、関係者席。
社員でもねーのに。」
「でもあそこじゃ丸見えじゃん。
しかも席なくて立ち見だし。」
「まぁいいんじゃねーの?
あそこならチケットなくても入れるし、
正面から入らなくて済むしな。
チケット完売で買えなかったんじゃね?」
「あぁ、初日しか渡さなかったもんね。」
「それに仕事終えてから来るから
出入り自由なあそこのが気楽だろ。」
「じゃあ隼也来たら教えて。」
「はいはい。」


