……………おかしい。
最近の美鈴、絶対におかしい。
なんだ?
いつの間にこんな演技がうまくなったんだろ。
元気ないって気づくまでに時間かかったわ。
「あ、貴也と隼也。」
「長曽我部さん。お疲れさまです。」
「お前らさ、美鈴のことなんか知らねぇ?」
「美鈴のことですか?
いや、俺は全然会ってませんけど…。」
「そう。貴也は?」
「俺も全然会ってないです。
なんかあったんですか?」
「それが最近やけに帰ってくんの遅いんだよな。
ここ2週間くらい。
11月末にあった撮影のときは普通だったはず。
あのときは疲れはあったんだけど…。
その日も16時には会社送ったのに
家帰ってきたのは22時過ぎだし。
それから永田に送らせた日もさ、
20時頃帰ったはずなのに
帰ってきたのは俺より遅くて23時過ぎとか。
しかもなんか疲れてるっつーか
元気ないって言うか。
レッスン減らしてもそれはかわんねーし
むしろトレーニングルームで走ってたりするし
すげー元気に演じてんだよな。常に。」
「……………俺らより
前の学校の友達とかの方が詳しいかもしれませんよ。
俺ら美鈴のこと全然わかんないんで…。」
「そうか。
ちょっと会ってくるかな。」
「え、今からですか?」
「今から行けば下校するとこで会えるかもだろ。
一人、男のやつなら顔わかるし。行ってくるわ。」
俺は貴也と隼也に礼を言って
車を走らせた。