居場所をください。




で、とりあえず最寄り駅まできた。


「電車で行くの!?」


「え、だめ?」


「だ、だって美鈴ちゃん…」


「タクシーより電車のが早いし正確だし

何より安いし。

大丈夫大丈夫。」


私はだて眼鏡をして、普通に改札を通った。


「大丈夫かなぁ…」


栞奈も不安そうにだけど改札を通る。


「優輝~、電車のるよー。」


「電車~!」


ほら、たったこれだけで嬉しそうだ。

私も電車は少し久しぶりだしね。


「そういえば小林と会ったんだって?」


「あれ?栞奈はまだ小林くんのこと

名字呼びなんだ?」


「え?うん。なんで?」


「小林くんは栞奈のこと、

栞奈って呼んでたから。」


「え、ほんと?」


「うん。」


「へー、そっか。」


栞奈は嬉しそうに笑った。

その表情に込められた意味はわからないけど

とりあえず仲良さそうでよかった。