居場所をください。




「じゃあ優輝、出発前にトイレいこうね。」


「出ない~。」


「出なくても行くの。

はい、行くよ!」


「はーい。」


ママの部屋を閉めて、次はトイレへと向かう。


優輝はお利口らしくて

ちゃんと言うことを聞いてくれるから助かる。


きっと毎日小学生組と

一緒に暮らしてるんだろうな。


「美鈴ちゃん、うんち出た~。」


「お、えらいじゃーん。

じゃあ拭くよー?」


私も、前までここにいて

こういうことを毎日してたなぁ……


なんだか懐かしいや。


「よし、おっけ!

手を洗って~。」


「美鈴ちゃーん!

ちょっと来てー!」


今度はリビングから呼ぶ声。


「ちょっと待ってねー!」


私は優輝と一緒に手を洗ってから

リビングへと向かった。


「なに、どうしたの?」


「あれとってー。」


「……………なんであんなところに…」


いつもみんなが遊んでるオセロやボール、

トランプなどが掃除で片付けたまま

高いところに置かれていた。


「はい、どうぞ。

じゃあ優輝と出掛けてくるね。

そんな遅くならないけど、

お腹すいたらご飯食べてね?

まぁその前に高校生組が帰ってくるし

なんとかなるか。」


「今日は美優ちゃんも来てくれるから

こっちの心配はしなくて大丈夫だよ。」


「はは、加奈子はしっかりしてるもんね。

じゃあ行ってきます!」


私は優輝と一緒にリビングを出た。