「美鈴ちゃんはさ、
ずっとこの世界にいるの？」
「私には歌しかできることないですから。」
「はは、わかるわかる。
私もそうだもん。」
「沖野さんもですか？」
「うん。
いろいろやってきたけど
私には歌しかないや。
まぁそれに社長は私のために
いろんなことを犠牲にしてきたから
私が今さら引くことはできないしね。」
「犠牲？」
「私を拾ったばかりに犠牲にしたこと
絶対あるよ。
それがなにかはわからないけどね。」
犠牲、か……
「勝負に勝つためには
たくさんのことを犠牲にする。
勝利のために何かを失う。
残念だけど、人の幸せって
そうやってできてるんだと思う。
犠牲にする代わりに、本当に欲しいものが手に入るなら
私はそのためだけに、たくさんのものを
犠牲にすると思う。」
……………犠牲、か……
「美鈴ちゃんのSecret、
あれ結構グサグサ来たんだよね。」
「え、Secretも聴いてくださったんですか？」
「うん、もちろん。
美鈴ちゃんの歌は全部聞いてるよ。」
……………感動しすぎて
言葉がでない……。
