居場所をください。




「いつも私を放ってくお母さんが嫌いだった。

休みの日でもどこかへ連れてってくれるわけでもなく

いっつも寝てたし、家の中も荒れてたの。

私がやるしかなかった。

毎日家事をして、お母さんを支えてた。

泣きたい日もあったけど我慢して

ひたすら笑って、笑うのが苦痛になったりして。

だから中学の時はそれなりに荒れて

16で家を飛び出して渋谷に来たの。一人で。

お金もないくせに適当に男を作って

入り浸って、捨てられて

また男を作って……って繰り返してたの。

それが本当に虚しくて

ぜんっぜん心は満たされたなかったの。

まぁ男作って遊んでるうちにバイト見つけて

なんとか部屋は借りられたんだけど

中卒の私だと就職先なんか見つけられなくて

気づけば私も19になった頃、

夜の仕事して、酔っぱらって

渋谷の路地で潰れて座ってる時、

今の社長に声をかけられたの。

"君、まだ未成年だろ?"って。

なんていうか、私も荒れてたし

それがなに?って感じだったんだけど

"親が悲しむよ"って言われて

"親なんか私にはいない"って答えたら

"じゃあ俺が悲しむよ"とか言い出してさ。

意味わかんないでしょ?

でもそれがなんかおかしくて笑っちゃって

だけど急に悲しくなって泣いちゃって

それで芸能界に入らないかって言われたの。

"私なんかが売れるはずないし

どうせすぐに捨てるんだから"って言ったら

"たとえみんなが君をごみ扱いしたとしても

俺は君を宝物扱いする。

君は俺の宝物になる"って言ったの。

その言葉で私は社長についてきた。

ま、当時は社長じゃなかったんだけどね。」