居場所をください。




やっときたエレベーターに乗り込み、

私は久しぶりに"6"の数字を押した。


そして数秒後には6階へと到着する。

ここに来るのは1年ぶり。

貴也がいなくなった、あの日ぶり。


603号室にはもう別の人の名前が書かれていて

1年たった今、改めて貴也がいないことを

また痛感させられた。



……………戻ろ。




私は虚しくなって

自分の部屋へと戻った。


真っ暗で、もわーんとした暑い空気。

これが本当に嫌になる。

……………まぁ一人じゃなかったとしても

玄関は暗いか……。

ここのマンション、部屋どころか

リビングの光すら漏れないしね……。


だから玄関を開ければ

すぐに玄関の明かりをつける。


……いつからだろう。

貴也がいつも入れていた靴置き場を開けなくなったのは…



私は久しぶりに、そこを開けてみたけど

そこはやはりなにも入っていなくて

1年たった今でもこの感情は変わらなくて

辛くて、苦しくて、寂しかった。