「美鈴ちゃん、調子悪い?」
そこへ瞬が来た。
「え?そんなことないよ?」
「ずっと遅れてる。
声だっていつもより出てない。
無理しなくていいから、少し休んだら?」
「平気。」
「だけど…」
「大丈夫だって。」
こんな時に立ち止まれない。
あと少しなんだから。
その時、一人の手が私へ伸びてきた。
「……熱はねーか。」
「長曽我部さん…」
「とりあえず今は休め。
無理は怪我の元だ。」
「別に無理なんかしてない。
気が緩んでただけ。大丈夫だよ。」
「今の美鈴じゃ足手まとい。」
「長曽我部さ…」
「わかったら裏いって休んでこい。」
長曽我部さんは冷たくそう言い放った。
それに対して、誰もなにも言わなかった。
私はもうその場にいられなくなって
ステージを降りた。


