「でもね、きっと美鈴ちゃんは
義兄さん…美鈴ちゃんのお父さんが
犠牲にした1つだと思う。
自分のために、美鈴ちゃんを犠牲にした。」
「それでも、私はまた
咲くチャンスを与えられたから
私はまだ犠牲にされた訳じゃないよ。
蕾すらつけなかったまま、
暗闇で茎だけが伸びた芽。
こんな私でも、咲いたら綺麗なのかな。」
「もちろん。
どんな花でも、たとえ歪にしか咲けなくても
花開いた花を汚いと思う人はいないよ。」
「そっか。
じゃあそろそろ行こうかな。
長居しちゃった。」
「もう少しで亜樹が帰ってくるから
亜樹も連れていけば?」
「えー、いいよ。
受験生を振り回すわけにもいかないし。
雨だしね。」
「受験生っていっても
毎日出掛けてばかりだけどね。」
「それでもいいの?」
「亜樹にやりたいことがあるなら
お父さんの会社を継ぐこともないし。
私たちは口うるさく言うつもりはないかな。
亜樹自身がやりたいと思ってくれなきゃ
意味がないから。」
「そっか。
あ、この前はおじさん…社長に
いっぱい迷惑かけちゃった。」
「あぁ、そんなの全然大丈夫だよ。
あの人、美鈴ちゃんの曲大好きだから
喜んで仕事してたよ。
美鈴ちゃんくらいだもん。
社長になってからCD作るのに
直接関わるようになったの。
毎日楽しそうだから、気にしないで。」
「はは、そっか、よかった。
また新曲出すから忙しそうでしょ。」
「うん。
今日も帰り遅いみたい。」
「なんかごめんね?」
「ううん、私も美鈴ちゃんの曲好きだし
次のCDも楽しみ。」
「はは、よかったらまた聴いてね。」
「もちろん!
……あ、おかえりー。」
そこに亜樹が帰ってきた。
……普通に、お店から。


